レポート・コラム

【経済トピックスNo.9】2026年度民間設備投資動向(宮脇淳)(2025年8月25日)

【経済トピックスNo.9】2026年度民間設備投資動向

 2025年4-6月期国民所得統計でも示されているように、日本経済実質成長の約半分は民間設備投資に依存しており、民間企業の足元の設備投資は底堅さを示しています。トランプ政権の関税政策には依然として多く不透明な点が残されています。そうした中で、2026年度に向けた設備投資計画を日本企業はどのように描いているでしょうか。日本の代表的な設備投資関連調査である日本政策投資銀行「2025年度設備投資計画調査」で動向を概観します(図1)(調査対象企業は資本金10億円以上の金融保険業を除く民間法人企業)。

(資料)日本政策投資銀行「2025年度設備投資計画調査」

 2020~21年度を底として、不動産・建設等を中心とした非製造業が牽引する形で回復してきた設備投資は2024年度にピークとなり、2025~2026年度計画ベースでは建設・卸小売りを中心に非製造業は減速、これに対して製造業は減速傾向を示しつつも全体として底堅い動きとなっています。非製造業では大きな増加後の一服感が高まった一方で、製造業は世界経済の不透明感はあるものの比較的堅調で、全体としては二桁台の伸びを示しています。7月頃では、次年度の設備投資計画がまだ企業経営として詰まっていない時期でもある中で、二桁維持は堅調な動きと言えます。但し、業種的に見ると2026年度計画は鉄鋼等一部業種の伸びに依存している点が課題となります。
 製造業の投資動機は、2025年度時点で維持・補修投資が全体の30%強、続いて能力増強が25%弱となっています。トランプ関税と密接な関係がある海外投資計画は、地区別では米国と中国が減少し、欧州に対する投資の伸びは減速、これに対して中国を除くアジア地域への投資が大きく伸びています。非製造業では、製造業と異なり投資動機のトップは能力増強で約半分を占めており、続いて維持・補修が1/4程度となっています。合理化・省力化投資は、製造業では10%程度で増加傾向にあるものの、非製造業では2%程度で労働集約型産業が多いため合理化・省力化が不可欠なものの、課題も多く進んでいないことが分かります。

宮脇淳(みやわきあつし)
株式会社日本政策総研代表取締役社長
北海道大学名誉教授

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